ゼロクエスト ~第2部 異なる者

第4節 敵襲、再び!

「で、ちゃんと目的地には向かっているんでしょうね」

私はここで、エドに向かって訊ねていた。

辺りを窺いながら慎重に歩いていた私だったが、途中で心配になったのだ。

星明かりと光球で足元が見える程度には明るかったが、道の向こうまでは照らし出すことができない。

この先は闇が広がっていて何も見えないし、道標さえもない。

この状況で果たして無事に、目的地へ辿り着けるという保障はあるのか。

「では〜この辺りで〜確かめてみることにします〜」

彼はそう言いながら自分の懐付近を、何やらゴソゴソとまさぐり始めた。

しかし突然その手を止めると、私を覗き込むようにして顔を上げる。

「そういえばエリスさんは〜方位を感知できるような術って〜使えるのですか〜?」

「……え」

突然何を言い出すのだろうか、この男は。

私がしばらく何も答えないでいると、再度訊ねてきた。

「どうされました〜?
使えるのでしょうか〜?」

「う……いや、えぇっと……」

私は口籠もっていた。

それは方角を指し示すだけという、ごく単純な初歩の術である。それを使えないと言うのは、かなり恥ずかしいことなのだ。
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