ゼロクエスト ~第2部 異なる者

第6節 接触

「あだっ!」

私は思わず目を瞑ると、潰された蛙のような声を出していた。何かが額に当たったのである。

しかし私は死んではいなかった。目の前に火花が軽く散った程度だ。

疑問に思いながらも額をさすりつつ、足元に落ちたソレを見る。

すると。

「??? まんじゅう??」

そこに落ちていたのは、透明な包装紙に包まれた小さな丸い物体一つ。その中心には温泉マークの焼き印まで入っている。

(何故まんじゅうが?
まさか剣が変化した……とか)

一瞬そんなことを考えてしまったが、はっきり言って有り得ない。

「貴様は…」

脇から声がした。レグの声だった。いつの間にか私たちの横へ移動していたのだ。

だがそれは、私たちへ向けられたものではなかった。

私は彼の視線の先へ顔を動かした。

暗がりから出てくる人影。

(あ、あれ? あの人)

その人物には見覚えがある。というより昨日見かけたばかりなのだから、直ぐに忘れるはずがなかった。
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