括弧の中に何を入れよう
 


だって、亮の顔が近くにある。鼻が触れそうなくらい、近くに。突然の出来事に緊張して、助けて、とも叫べず、手も足も動かない。ああ、誘拐された時とかこんな感じなのかなあ、と頭の隅っこで考えているだけ。使えない脳だ。
目の前の亮は真剣で、怖い。こんな亮は私でも見た事がなかった。「な、に」やっと振り絞るように出せた声は、小さくて震えていた。ぎりっ、と亮が私の手首を掴む強さを強めると、更に痛んだ。
「なあ、お前、それ本気で言ってんの?」



 
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