恋人ごっこ


 苦しい言い訳。
 先に帰るときは必ずメールしていた。

 だけど文哉はそんな気にしてないって思ってた。



 何も言わない文哉の瞳がある一点をとらえていると気付いたから。




 「あっ・・・!」


 あたしは慌てて手で隠そうとしたけど、文哉にその手を思いっきり掴まれた。



 「痛っ」


 「誰にされた?」



 「え?」





 「ムカつく」

 確かにそう一言ボソッと彼は呟いたのだ。


 そしてあたしの掴んだ手を強引に引っ張って、学校とは逆の方向に歩き出した。



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