ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
学校全体がドーム状の透明の殻のようなもので覆われていることに気が付いた。


メールに書かれていた『結界』という言葉を思い出す。

(結界だの生贄だの、俺は非科学的なことが一番嫌いなのに……)


怜央は、嫌いなものを受け入れなくてはならない自分の運命を呪った。


(魔界だのヴァンパイアだの、なんだってそんなものに関わらなくちゃいけないんだ)


怜央はやさぐれる心を吐き出すように、風を切って歩いていた。


(俺が人間じゃなくなるって? 茜を助けられるなら魔物でもヴァンパイアでもなんにでもなってやる!)


完全にヤケになった時、校門前に辿り着いた。


薄い殻のようなものが、目の前に立ち塞がる。


(普通の人間には見えないんだろうな。これが見えるってことは、もう殆ど俺は人間ではないってことか)


怜央は、薄いバリアのようなものに手を触れた。

< 118 / 370 >

この作品をシェア

pagetop