ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
レオは再びクラクラと眩暈(めまい)が起きた。


人間界で培われてきたレオの常識の範疇を超えていることが多すぎる。


「俺も一千年くらい生きれるんやて! 
なんや死にそうになったおかげでもうけたな!」


レオはこの状況で得したと考えられる日向の能天気さに殺意すら覚えた。


レオが日向を睨み付けている様子を察したバドは、レオにゆっくり休むように告げて日向を連れて去っていった。


再び一人になったレオは、体がひどく重かったが、眠れるような状態ではなく、窓から映る魔界の景色を一人眺めていた。


外は闇色に染まり、辺り一面森が広がっていた。


その中で大きな丸い月だけが、レオを励ますように煌々と明かりを放っていた。

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