ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
森を抜けると、重みのある古い街並みが広がっていた。


道路はゴツゴツとしたレンガを並べたような石造りで、深い闇夜に点々と灯るアイアンフレームのランプが、横一列に隙間なく並ぶ店を浮かび上がらせている。


酒場や宿屋、様々な種類の商店が店を構えていた。


並んだ店の外観の殆どがレンガの茶色い壁だった。


白いドアや黒いドア、個性的な看板やテールランプが輝いている。


レオは日向の背中から降りて、歩きながら初めて見る魔界の街並みを眺めていた。


すると店の中から女の人と子供が出てきた。


女の人の服装は黄色みがかったブラウスにオリーブ色のエプロンのようなワンピースを着ていた。


ぱっと見は分からなかったが、ランプに照らされ顔がはっきりと見えた。


肌の色が緑色で三つ編みのように一つに纏められた長い髪は、よく見ると蛇だった。


風が吹いて髪が靡いていると思いきや、大きな蛇がくねくねと動いているのだった。


そして子供は大きな帽子を被っていたせいでよく見えなかったが、同じく顔は緑色で服の外から見える手足は緑色の蛇柄だった。


親子は仲良く手を繋いで歩いていった。


レオは一瞬ぎょっとしたが、日向は何でもないような顔でトコトコと石造りの道路を歩いていく。


レオも気持ちを落ち着かせ、日向の後ろに付いていった。


街並みを歩いていくと他にも、サボテンの花のような生き物が歩いていたり、半獣半人の大きな毛むくじゃらの男が普通に歩いていた。
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