ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
親子と別れた二人は、どちらも一言も話すことなくトボトボと目的もなく歩いていた。


「何かが、おかしい」


レオが口火を切った。


「俺も、そう思っとった」


「規制が緩くなっていることをラシードは気付いてるんだろうか」


「分からへん。
でも、気付いてたら手を打ってるはずや。
ラシードは差別が何よりも嫌いだからな」


「そうだよな。
人間の血や臓器が魔界に流れてるってことは、人間がたくさん殺されてるってことだよな。
今、人間界はどうなっているんだろう」


「気になるか?」


「当たり前だろ」


「なら、聞きに行こか」


「誰に?」


「王様に決まってるやん」


「ラシードに? 知ってるのか?」


「知らんかもしれへんし、知ってるかもしれん。
それに知らんくても、この現状を教える必要はあるやろ」


「……確かに」
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