ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
假屋崎の知り合いを連れていけば、假屋崎と近づけるかもしれないという計算が働いているようだった。


「私はいいよう……」


泣きそうな茜を引っ張って、教室に入ると、假屋崎が席に座り本を読んでいた。


茜に気付いた假屋崎が顔を上げる。


その途端、教室の外にたまっていた女子達の黄色い声が上がった。


茜は假屋崎の顔に、声を出すこともできず固まってしまった。


彼女たちの言っていたことは本当だった。


昨日見た眼鏡をしていない假屋崎は、驚くくらい整った顔立ちをしていたけれど、今日の假屋崎は更に洗練されていた。


顔立ちうんぬんではない。


もう雰囲気が別人なのだ。


全身から醸し出されるフェロモンに、頼りがいがありそうな男の身体。


真面目そうで目立たず、クラスにいても空気のような存在だった假屋崎だが、今は顔を伏せていても、オーラで目を引き寄せられる。


この人は本当に假屋崎君だろうかと茜は目を見張った。
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