ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「西山さん!」


いつものように一人で帰っていると、後ろから茜を呼ぶ声がして振り返った。


そこには假屋崎が笑顔で立っていた。


「やっと会えた。
西山さんってホームルームが終わったらすぐ帰っちゃうんだね」


立ち止まっている茜に、假屋崎が近付いてくる。


「うん。早く帰って来いってお母さんが……」


「最近物騒だからね。送っていくよ」


「え!? いいよ、そんな。悪いよ」


「一緒に帰りたいんだ。ダメ?」


「ダメなんかじゃ…ないけど……」


こんな綺麗な顔で、顔を傾げ覗き込むようにねだられてしまったら、断ることなんてできない。


自然と頬が少し赤くなって、視線から逃れるように目を泳がせた。


二人、肩を並べて歩く。


茜の担任はホームルームを終わらせるのが早い。


假屋崎が言うように、終わった途端に帰るので、茜はいつも誰よりも早く帰り道を歩いている。


もしかしたら、走って追いかけてきてくれたのかな?
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