ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
生徒会室では奇妙な空気が流れていた。


殺風景な部屋で、パイプ椅子のような簡素なものに座るのはもったいないと思われるほどの眉目秀麗な少年が二人並んで座っている。


テーブルを挟んで向かい側のパイプ椅子では、茜が二人の様子をチラチラ見ながら先生から頼まれた雑用をこなしていた。


なぜか分からないが険悪な雰囲気の二人に、茜はどうすることもできず、ただ黙々と作業を続ける。


対して美少年二人は隣同士並んで座っているにも関わらず、目線を一切合わすことなく、かといって雑用を積極的にこなすわけでもなく、ただ沈黙の中に漂っているといった状態だった。


茜はなんとかこの状況を打破しようと、会話の糸口を見つけるために必死で頭を巡らすが何も浮かんではこなかった。


(どどど、どうしよう。
どうしたらいいの!?
こういう時、面白いギャグの一つや二つ言えたら盛り上がるかもしれないのに!
それとも、ここは小話とか!? 
ああ、もう!
どうして私、落語を勉強してこなかったの!)


茜が頭の中でわけの分からない理屈で勝手に自分を責めていると、假屋崎がレオに向かって口を開いた。
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