ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
ヴラドは、両腕で必死に身体を支え倒れ込んでいるレオに視線を向けた。


歩み寄り、しゃがみ込んで目線の高さをレオに合わせる。


「今にも死にそうな状態じゃないか、レオ」


ヴラドは慌てる素振りを一切見せずに、久しぶりだな、と挨拶をするような口調で言った。


それが瀕死(ひんし)の息子に対する態度か!とレオは心の中で突っ込んだ。


「どういうことだよ! 親父は人間じゃなかったのか!?」


ぜえぜえと息を切らしながら怒鳴った。


正直息をするのも辛い。


でもヴラドに弱い所は見せたくない。


「実は数年前から徐々に力が戻ってきていたんだ。
まだ完全ではないけどな」


「なっ……!?」


驚いているレオの後ろから「そうなの!?」と更に驚いた様子の声が響き渡った。


声のした方向に振り向くと、口を両手で覆い目を見開いている真央が立っていた。
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