ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
見詰めていたというより、見下ろしていたというべきか。


一段高くなった玉座にいる赤銀に見下ろされている怜央。


まるで、これが俺とお前の力の差だと言われているような気がして、怜央は不愉快だった。

「それで、今日俺達を呼び出したのは何でや?

まさかこの王様みたいな部屋を見せたかっただけじゃないやろな」


日向は嫌悪感を隠そうとはしなかった。


顔にははっきりと『この部屋は悪趣味だ』と書かれていた。


怜央も同じ考えだった。


この部屋は悪趣味だ。


「もちろんそうだ。この部屋を見せるためではない」


赤銀が口を開いた。


別世界から声が聞こえてくるようだった。


澄んでいるような、二重に重なっているような、とても不思議な感覚のする声だった。

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