ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
「でも今、疲れたでしょうって……」


すると真央は二コリと笑って言った。


「私は本当に何も知らないの。でもバドが来て、そしてヴラドが地下にこもりっきり出てこないってことは、何かあったのかなって察することくらいできるわ。

私にあんまり聞かないで。本当によく分かっていないんだから。


聞くならヴラドにしてちょうだいね。あなたのお父さんなんだから」


こう言われると、怜央はもう何も聞けなかった。


正直、怜央はヴラドと話すのが苦手だった。


威圧的で、何を考えているのか分からない。


ヴァンパイア研究なんて訳の分からない仕事をしているせいで、話すのも嫌だった。


でも、今回ばかりはそうは言っていられない。


自分の身に起こったこと。


これはもう、背けることができないくらい深刻な事態となっていた。
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