ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
ヴラドはたっぷりと時間をかけて、16年の月日の間に成長した愛息子(まなむすこ)を見詰めた。


愛息子とはいっても、真央のようにたっぷり愛情をかけて過保護に育ててきたつもりは一片もなかった。


むしろ放置し、手を貸さず、厳しく育ててきたつもりだった。


さて、どうするか。


ヴラドは精悍(せいかん)に育った愛息子を見て考えた。


ここで全て話して、悩める子に手を貸してあげるのもいいだろう。


だが……。


「お前は自分を何者だと思う?」


「俺は……人間では、ないかもしれない」


「どうしてそう思った?」


それは……と言いかけて、怜央は口を噤(つぐ)んだ。


話すには長すぎる。


それになんだか近況を全て父親に話すのは気恥ずかしいものがあった。


それが思春期特有の恥ずかしさであることに、怜央はまだ気付いていなかったが、ヴラドは見抜いていた。

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