ヴァンパイア王子~覚醒のblood~
四人は、生徒会室の前に到着した。


むせ返るような匂いがして、怜央は立ち止まった。


急に青ざめ始めた怜央の異変に気が付き、茜が心配そうな目で怜央を見た。


やっぱり生徒会室に何かしかけがあるのかもしれない。


敏感になっているから気付いただけで、最初からこの匂いはあったのかもしれないと思い、怜央は嫌な予感を無理やり頭の中から払いながら、歩を進めた。


日向が生徒会室の扉を開ける。


部屋に入った四人は、目の前の光景に息を飲んだ。


玉座の壁に、両手を横に広げ頭を下げ、十字架のように張り付けにされている、生徒会長藤崎の姿があった。


そしてその下に、折り重なるように横たわっている上級生たちの姿。


まるで絵画のように美しく残酷な光景は、それが殺人現場であるということに気付かせるのを遅らせた。


血の気を失せ、白く固まっている死体の首筋には、二本の牙のような傷痕が残してあった。

< 93 / 370 >

この作品をシェア

pagetop