蹴球魂!!!!
「な…に、言って……」

あんなに優しい胡桃が、言うような言葉じゃない。


ヘラヘラしながら胡桃を見ると、その目は真剣だった。


「本当だよ。ルールもろくに知らない私だってわかる。…技術どうこうじゃないよ??」

「……。」


何も、言えない。

あたしが戸惑っていると、胡桃は言葉を続けた。


「森山くんに、気を取られすぎ。試合の時も、練習の時も、全然集中出来てなかった」


ーズキン


あたしは、ズキズキと痛む胸を押さえて、今までやった事を思い出そうとした。


練習試合の時…。

“円!!”

晃汰が上げてくれたいつものパス。

あたしは、得意なはずのトラップが、全然出来なかった。


それは、普段の練習でもそうだった。


「円ね、森山くんが近くにいたり喋っただけで、ずっとビクビクしてたんだよ??」

「嘘…」


そんなの、全然気付かなかった。

「そんな円を見て、森山くんはどう思ったか…わかる??」

「あ……」


ーズキン ズキン…


「あたし…最低だ……っ!!!!」

自分の事しか考えてなくて、飛鳥の言葉に戸惑って、そして飛鳥を……。


「心のどこかで、森山くんを避けてたんじゃない??」

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