蹴球魂!!!!
そんな時、許しを出したのは、信じ難い人物だった。


「いいっすよ、別行動」

「「え…??」」


その場にいた誰もが目を見開いた。


「本当にいいのか??」

「いや、言い出したのは唯斗先輩じゃないですか」

「そうだけど…」

「とにかく、別行動はアリで」

「マジか!!晃汰サンキュー!!!!」

「晃、ありがと」

「別に」

「「………。」」


晃汰がOKを出すなんて、思っても見なかった。

だけど…。


ーズキンッ


あたしには、わかってしまった。

晃汰がOKを出したわけが。

痛いほど、わかってしまった。


そしてそれは、あたしが原因であるっていう事も…。


「晃汰、あの…っ」


勇気を出して声をかけたけど、晃汰の瞳を見た瞬間、言葉を失ってしまった。


「ちょっと俺らも別行動する」

「「え!?」」


グイッと掴まれた右手は、痛かった。冷たかった。

晃汰の心が傷ついてるって…すぐわかった。


スタスタと歩いて、連れてこられたのは、人の少ない木陰。


「円」

久しぶりに呼ばれたあたしの名前。

その声は、暗くて…低かった。


…晃汰が、怒ってる。
< 202 / 394 >

この作品をシェア

pagetop