蹴球魂!!!!
ゾクッと、背中が凍ったように冷たくなる。

額から汗が噴き出す。


そういえば最近の飛鳥は、おかしかった。

明らかに、右足に何かを抱えてる。

その“何か”って…何??


ーパァンッ


「ちょ…円!?」

「楠木??具合悪いのかぁ??」

「円ちゃんどうしたのー??」


ピストルが鳴っても一向に走り出さないあたしを見て、胡桃や先生、クラスの子たちが声をかけてくれた。


「あ…すいません。大丈夫です。走れます」

「そうか??…大会も近いんだし、あんまり無理すんなよー」


無理矢理重たい足を動かして、1歩1歩進む。

…早く完走して、早く飛鳥の所に行かなくちゃ。

無理しないでって、言わなくちゃ!!


1人、また1人。


あたしは今まで出した事のないペースで走る。

どんどん前を走ってた子たちを抜かして、気付けば胡桃のもとまで追いついていた。


「ま、円っ!?」

「胡桃、どうしよう。飛鳥の足…!!」

ワナワナと震える唇で、胡桃に不安をぶつけた。


いつもより速いペースなのに、胡桃はそのペースに合わせて走ってくれた。

マネージャーだから、このペースはキツいはずなのに。

…って、ペースを落とせないあたしが悪いんだけど……飛鳥の事を考えると、これ以上ゆっくりなんて出来ない。


「円、その気持ちはわかるよ」

「胡桃…ありが「だけど!!」…っ!?」


あたしの言葉を遮って、胡桃は言った。


「円の足だって、サッカー選手の足なんだよ??そのペースじゃ…足壊しちゃう…!!」
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