蹴球魂!!!!

Game70

パンパンッと両手で顔を叩く。

寒くて乾燥した肌に、痛みがジンジンと響く。


「只今より、県本戦の決勝を始める!!」


それぞれのユニフォームを纏った22人がハーフラインに整列する。


あの日…あの県予選の決勝の日。

飛鳥の怪我を、知った日。

あたしは胡桃に気合いを入れてもらったおかげで、県予選の決勝では2得点、4アシストという好成績を残して、県本戦へと駒を進めた。


晃汰も腹をくくったのか、その日から動きが変わって、あたしたちは全勝でついにここまで来た。


ベンチで見守ってくれる飛鳥のために。

今日も勝って、全国へ行く。

絶対に県代表校になってみせる!!!!


もう弱気じゃいられないもん。負けられない。

目指すのは“勝利”の2文字だけ。


「おし、皆まずは守りだ!!DF、気ぃ抜くなよ!!!!」

「「おう!!!!」」

「唯斗、円ちゃん、チャンスあったら即行カウンターね!!!!」

「うっす!!!!」「はいっ!!!!」


ベンチからは、俊介と飛鳥と胡桃の声がした。

遠くて上手く聞き取れないけど、気持ちはちゃんと伝わってるよ。


もう弱気になんてならないから。

“自分のサッカー”をするから。

見てて。絶対ゴール決めるから!!!!


ーピーッ

ホイッスルがなって、ボールが動き出す。

ピッチ上の22人が動き出す。


「よっしゃ、上がれー!!!!」

「「はい!!!!」」
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