蹴球魂!!!!
え??

は…ハズレ??


「じゃあ正解って何ですか??」

あたしがそう聞くと、大輔先輩はニコッと笑った。


「この大舞台で自分のプレーが出来るのが楽しみってゆー緊張。武者震い的なアレね」

「「え」」


どんな答えが返ってくるのかと思えば、武者震いって。

なんか拍子抜け。


「だから皆落ち着け。全員がやる気100%じゃ駄目。80%ぐらいで行くぞ??」

…もはや意味不明な大輔先輩の言葉。

でも素直に従えちゃうのはどうしてなんだろ??

「「はい!!」」


それはきっと、“大輔先輩だから”だよね。

今まであたしたちをまとめてくれて、叱咤激励してくれて。

たまにアホな事するけど、最後はいつもいい感じで締める。

人として、皆が大輔先輩を尊敬してるから付いていこうって思えるんだよね!!


「よし、皆行くぞ!!!!」

「「おう!!!!」」


大輔先輩の声に続いて、力強い返事が控え室にこだまする。

この感じ、凄い好き。

この人たちと仲間になれてよかったって思える!!


「…それでは両校の選手の登場です……!!」

まるでプロの試合のようなアナウンスが流れて、あたしたちと相手校の列はゆっくりとピッチへ。


―ドクン

心臓が大きく跳ねた瞬間、物凄い歓声が聞こえた。


「「ウォォォォォ…!!」」


観客席を埋め尽くすほどの、物凄い人数。

その全員の視線は入場してくるあたしたちに向けられていた。


や、やばい…。

尋常じゃなく手汗かいてきた!!

隣をチラッと見ると、相手校の選手の額にも汗が一粒流れていた。


そっか、緊張してるのはあたしだけじゃない。

ここにいる選手の誰もが同じなんだ。


それなら、ここにいる選手の誰よりもこの試合を楽しんでやる!!


“武者震い的なアレね”

今指先が震えてるのも、膝が笑ってるのも、全部武者震い。

そう考えると、肩の力が自然と抜けた。


やっぱり大輔先輩は凄い。


「よし、集中して行くぞ」

大輔先輩の言葉で集中が高まる。

「「はいっ!!」」


―ピーッ


そして、全国大会初戦開始のホイッスルが鳴った。
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