蹴球魂!!!!
ーザァァァ…


いつまで経っても、雨はやまない。

雨で濡れた髪が、顔にまとわりつく。


晃汰が貸してくれた練習着のおかげで、どうにか透けてない。


「円っ!!」

ーバスッ…

晃汰のセンタリングを受けたあたしは、ゴールに向かってボレーシュート。


「ナイッシューッ♪」

「くそー…」


休憩中だった飛鳥が褒めてくれて、GKとしてあたしのシュートを止めようとした俊介は悔しがっていた。


「ほいじゃー今日の部活終わりー!!風邪引かないように、
早く家帰れよー」

「「あざっしたー!!!!」」


部活が終わった今の時間、6時。

「暗っ…!!」

目の前すらロクに見えない、真っ暗の闇の中。


「鈴木…」


誰かの名前を呼ぶ、優しい声。

あたし、“鈴木さん”と間違えられてる??


「…??」


暗さのせいで、よく顔が見えない。

誰だー??


「今でも…忘れられない…」

…辛そうな声。雨音に混ざって上手く聞き取れない。この人が言ってる“鈴木さん”って…元カノ…とか??

「好きだ…」


ーチュ…

…え??
< 40 / 394 >

この作品をシェア

pagetop