大嫌いだから、ね?(短編)
「あのさ、陽菜、おれはーーー」
光くんが何かを言いかけたとき、
「新入生の皆さんは講堂へ速やかにお入りください。
入学式をはじめます」
と、校内放送が流れた。
みな、掲示板から講堂へと向かい始める。
光くんの腕の力がゆるんだ。
私はぱっと手を振り払った。
そのまま、脱兎のごとく、駆け出す。
「おい! ちょっと、待て! 陽菜!」
「待たない!」
地の利は私にある。
光くんが呼び止めたけど、私は人の流れにまぎれてにげた。
途中、出会った友達の輪の中に入ってさらに隠れた。