大嫌いだから、ね?(短編)
 促されるままあけてみたら、それは小さな栽培キット。

 四葉のクローバー、栽培キットって書いてあった。



「え? ええ!? なにこれ」

「これ、四葉しかでてこないらしい。

しっかり、育てろよ」

「・・・うん」


 小さな包みをきゅっとにぎりしめた。



「もう、昔のおれじゃないんだから、変に避けたり、逃げたりするなよな」

「う、うん」

「・・・帰るか」



 光くんが立ち上がった。

 私も立つ。



「これありがとう」



 遠い日の四葉のクローバーのしおりと、キットを大事に抱えていう。



「ちゃんと、育てるね?」



 自然と笑顔がこぼれた。
 
 そばにいる光くんがとても優しい表情をしていたから。


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