お隣りさんlover
帰り道はもう真っ暗だった
まだ春先だから風が結構冷たい
「渓ちゃんごめんね、ありがと」
「昔っから奏の面倒見てたからなぁ~慣れてる!」
「最近は全然なかったから懐かしかったでしょ?」
「忘れた身分で何言ってんだよ」
「だから前見てってば!」
さっき言ったのに前方不注意な
何か少しヌけた渓ちゃんも
しっかり者の渓ちゃんも
全部愛しい
渓ちゃんの後ろってね、
渓ちゃんの全部を感じられる最高の場所なんだ
黒い髪とか 広い背中とか
全部全部全部
「奏、時間ある?」
「え…?うん大丈夫だよ」
そう言うと渓ちゃんはチャリをいつもと違う道に走らせた