。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


キョウスケの妹、“マリナ”もあんな感じなのかな。


「ねぇねぇ、マリナっていう子…あんな感じ??」


あたしは思ったことがすぐに口に出るたちがからなぁ。気をつけなきゃいけないと思うんだけど。


「あ?…なんでおめぇがその名前を知ってンだよ」


と、戒が不機嫌そうにあたしを見下ろしてきた。


ヤバイ!あたしは慌てて口を噤んだ。


「俺がつい口を滑らせたんですよ」


ちょっと苦い表情を浮かべて、キョウスケも彼女らの方にちらりと視線を送った。


そして自然に顔を戻すと、


「いえ…あんな風ではないですね」とあたしを見る。


「お♪かなり可愛いな。それに何か色っぽくね?」戒が、にやりと笑う。


「おい。てめぇ…」


と、言いかけたけどあたしは言葉を飲み込んだ。


戒もやっぱりあんな可愛い子が好きだろうな。


「何だヤキモチか??可愛いやつめ」


戒は満足そうににこにこ笑って、あたしの頭をぽんと軽く叩くと、






「俺はお前しか好きじゃないって」






と言い、爽やかに立ち去っていった。


「デザートは俺がサービスするからな。キョウスケに頼むんじゃねぇぞ」それでもしっかりそう言いおいて。


戒が立ち去ってから、あたしはさりげなく女の子たちに視線を移したが、彼女たちはもう違う話題に入ってこっちを見ていなかった。


そのことにほっと安堵して、あたしは残ったサンドイッチに口をつけた。



結局マリナがどんな女の子なのかは、分からなかった。



戒はああ言ったけど…やっぱり沈んだ気持ちは浮上することがなかった。


サンドイッチは少しも味がしなかった。




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