。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


キョウスケが立ち上がり、俺は扉を開けて応接室の向こう側へ促した。


「じゃぁ鴇田さん、連絡待っています」


丁寧に頭を下げ、出て行こうとする瞬間。


「あれ?ヒヨコちゃん、帰っちゃうの~?」と残念そうな大狼が顔を出した。


「あ、はい……」キョウスケがちょっとだけ身を引いて、表情を強張らせる。


「僕が送っていってあげるよ~」


「それはいい。お前は大人しくここに居ろ」俺が大狼を睨むと、ヤツは素早くスーツの内ポケットから名刺を取り出し、


「僕の番号♪困ったことがあったら、無くても連絡してね♪」


なんて言いながら、キョウスケに抱きついてこいつのジーンズの尻ポケットに名刺を無理やりねじ込む。


ピキッと固まったままのキョウスケの尻をさりげなく撫でているのを見て……


プツリ


またも俺の堪忍袋がキレた。


「一度死んだ方がいいみたいだな」スーツからハジキ(拳銃)を取り出して、銃口を大狼に向けると、キョウスケはびっくりしたように目を丸め、それでも慌てて大狼から離れる。


大狼はちっとも怯んだ様子を見せずに、へらへら笑っていた。


まったく!


兄貴と言い、大狼と言い俺の周りには何故こうも変態が多いのだ!?


そう言えば兄貴と大狼は小学校からの同級生だったな。


嫌な繋がりだ。


と、そんな私的なことはどうでもいい。


キョウスケを見送ると、俺は事務机の受話器を手に取った―――






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