。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「昨日プリント見てさ。夏休み明けわりとすぐに進路相談の三者面談があるんだ。それでちょっとあたしの考えを聞いてもらおうと思って…」


「三者面談か。そうか朔羅ももう二年だしな。で、行きたい大学とかあるのか?将来の夢は?」


叔父貴は疲れた表情を滲ませながらも、優雅にコーヒーを口元に運んだ。


「え…うん……大学は入れるとこがあればそこでいいんだけど……


できればあたし調理師学校行きたいな、って思ってて」


あたしは用意してきた嘘を口にした。


叔父貴の目を見て言えないのは、あたしに後ろめたいことがあるから。


俯いてスカートの裾をぎゅっと握る。


前に、心臓の辺りに触れる癖を戒に指摘されたことを意識して、なるべく触らないようにした。


叔父貴がその癖に気付いてるかどうか謎だったけど。


「調理師学校か。予想もつかなかったな。お前はてっきり戒と同じ大学に行きたいって言い出しそうだったのに」


「戒と同じ大学なんてあたしの頭じゃ無理だよ。それにあたしは店持ちたいって夢があるんだ」


正直な気持ちだった。


「ほらっ。あたしって特技が料理しかないし」


「初耳だな。お前にそんな夢があったなんて」


叔父貴は珍しそうに目を開いて、それでもどこか嬉しそうに頬を緩ませた。


思えば誰かに夢を語るなんてこれがはじめてだった。


前は漠然と“可愛いお嫁さん”なんて思ってたけど。


リアルな将来設計が頭の中に浮かんでくるのは、正直嬉しいし、あたしもちょっとは成長したってことかな??






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