。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


あたしはテーブルの上に6枚のスナップ写真を並べた。


どれも隠し撮りをしたものだから、ピンぼけしてるけど、顔を識別できない程ではない。


左から順に、


龍崎 琢磨、鴇田 翔(弟)、―――それから、虎間 戒、龍崎 朔羅に鷹雄 響輔……最後に鴇田 衛(兄)


の写真を並べると、男は興味深そうに視線を和らげた。


「よく撮ったね」


「苦労したわ。特に大人はね。あたしの動きを警戒してるもの」


「ここまで君が真剣だとは思わなかったな。気が変わった。シャンパンでも飲んで、ゆっくり話そう」


男の返事を聞いてあたしは笑顔を浮かべた。



――――

――


シャンパンとフルーツ盛りが運ばれてきて、あたしたちは乾杯した。


フルーツ盛りに入っていたイチゴをピックで取ると、男はあたしのグラスに入れる。


いつも通りのシャンパンが急にお洒落な飲み物に変わった気がして、あたしはちょっと興味深そうに男を見上げた。


「慣れてるのね。こうゆうのするタイプには見えないのに」


「君が言いたいのは、する必要がなさそうなのに、だろ?」男はあたしを見て柔らかく笑う。


この男の笑顔はいつも崩れない。まるで仮面を付けてるみたいで―――本心が分からない。


男は細くて長いきれいな指で写真を順になぞった。


「さて、どこから攻める?」








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