。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。




だからこそ、あたしはキョウスケに返事をするときに思い悩んだ。


あたしはキョウスケの一番身近に居る戒を選んだから―――


「あ、あのね、リコ……」顔を上げて真正面からリコを見ると、あたしはぎゅっと胸の辺りを押さえた。


「実は―――」言いかけたところで、


カタン


遠慮がちに居間の扉を開ける音が聞こえて、あたしは顔を上げた。


「龍崎くん―――」


入り口でまだパジャマ姿の戒が腕を組んでいる。寝起きでぼぉっとしてるけど、その顔にはちょっと真剣な表情が浮かんでいた。


「お取り込み中悪いんだけど、響輔熱があがってきたみたいでさ」


「マジで?薬効かなかったのかなぁ」


「ね、熱は何度あるの…?」リコが心配そうに聞いた。


「わかんね。計ってないし。でもかなり熱い」


「この薬、熱には効かないのかな」あたしは慌てて薬の箱を引き寄せて、





「これ、使用期限2年も過ぎてた」


戒が苦笑を漏らしてちょっと頭を掻いた。


「相変わらずだな。かなり辛そうだし、市販の薬飲ませるより医者に診せた方がいいかも」と言ってケータイを取り出している。


「タクシーでも拾うんか?だったら見てくる」立ち上がりかけたあたしを、戒はケータイを耳に当てながら手で制した。


「あの変態医者に来てもらうほうが早いだろ。あいつが手空いてなかったら、他のヤツが来るさ」


なんて勝手なこと言ってるし。


でもまぁ歩くのもしんどそうだし、来て貰うのが一番だけどね。




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