。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
「もしそうだとしたらどうするの?あんたは反対する?」
予想外のことを聞かれて、俺はちょっと面食らった。
「反対はしないが―――…」
俺はキョウスケの顔を思い浮かべた。
虎間 戒と違って、あいつは何を考えているのかさっぱり分からん。いつもぼんやりしているように見えるが、あれでいて妙に鋭い。
悪いヤツではないが、あの無表情の裏で何を考えているのか―――
「しないが、何?」
イチが気短そうに眉を寄せ、俺を睨み上げてくる。こうゆう表情はあの女に良く似ている。
でもあの女は元来がおっとりした性格だ、イチのこうゆう小ズルくて短気なところは
きっと父親に似たんだろうな―――
「極道の男はやめておけ。幸せにはなれん」
イチは少しだけ考えるように首を傾けると、
「ママみたいに?」
と、無表情に聞いた。
「………」
俺は無言でウィスキーに口を付けた。
イチは俺の反応が面白くなかったのか、ちょっと頭をすり寄せると、
「もっとさぁ、ないの?お前にはあいつなんてふさわしくない、とか怒ったり」
と唇を尖らせた。
「言ってほしいのか?」
そう逆に聞くと、
「それを聞いたら面白くなりそう」イチは頬を緩めた。