。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


「花火大会かぁ。でもどこでやるんだっけ?」


毎年この頃リコは家族で海外旅行とか行っちゃうし、今年はあたしもバイトで忙しい。だからあんまり興味なかったんだよね。


昔は……あたしと叔父貴と雪斗がまだ仲良かったとき、三人で龍崎組の縁側に腰掛け、花火を眺めた。


叔父貴はビールを飲みながら枝豆をつまんで、その横であたしと雪斗が打ちあがる花火を指差しては、今の花火は変な形をしていたとか、失敗だとか笑い合ってた。


遠い――――――……過去の話。


リコはそんなあたしの為に、花火大会のチラシを見せてくれた。


「これ、青龍会本部の近くだ」


確か近くに割りと大きな河があったから、きっとそこで打ち上げるんだな。


「出店とかも出るし、結構な規模だよ。それにキョウスケさんを誘ってみたの。“一緒に行きませんか”って」


「それで?」


戒が先を促し、リコが可愛らしくぽっと頬を赤らめる。


もじもじと手を組み合わせて、伏せ目になる姿を見て…


ドゥギュン!


心臓が変な音した!!


ってかリコ!!あんた、なんっでそんなに可愛いんだよ!


「キョウスケさんが“いいですね”って一言」


「おいっ!それだけかよっ!!」


戒が額を覆って、ふらりとフラ付く。


「それだけって、乙女にとってはそれだけでも大きいことなんだよ!」


あたしは思わず戒に怒鳴った。


「だってあんなに顔赤らめて言ったんだぜ?付き合うことになった、とかせめてチューの一発ぐらいブチかまされたのかと思ってたぜ」


ち、チュー!!?


「キョウスケはお前と違ってジェントルなんだよ!」


あたしは思わず戒の胸ぐらを掴んでぐらぐら揺すった。


「ちょ、ちょっと朔羅!乱暴はやめてよ~」


リコが慌ててあたしを止めに入って、何だかハチャメチャ。





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