。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
その夜千里からも電話があった。
『リコから聞いた。お前、龍崎とキョウスケさんとリコの四人で花火大会行くんだって?』
「あぁ…うん」
そー言えば、こいつの存在も忘れてたよ。
『俺も行く!』
やっぱそーなる!?
『と言いたいとこだけど、俺その日親戚んちに行かなきゃならないんだよな~…』
と千里は残念そうに声のトーンを落とした。
「親戚??もちろんそっち優先しろよ」
(お前が来ると話がややこしくなる)なんて言えず、あたしは「どーぞ、どーぞ」と勧めておいた。
電話を切って、
はぁ
あたしはため息を吐いた。
ひと夏のアバンチュールどころか、トラブル続きでおかしくなりそ…
――――
――
「メガネとキョウスケと花火大会?ああ、それだったら百合香お嬢の浴衣がありやすよ」
マサが言い出して、蔵の中を二人で探すと、古くさい和箪笥の中に母さんの浴衣やら着物なんかがたくさん出てきた。
「わぁ。結構たくさんある…どれもきれい…」
「お嬢は百合香お嬢に似ていらっしゃるから、似合うと思いやすよ」なんて言ってマサが一着の浴衣を取り出し、あたしの前に合わせる。
母さんと同じ浴衣……
胸の中にその浴衣を抱きしめると、懐かしい―――母さんの香りがほんのり香ってきた。