。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


それでも客には変わりない。あたしは引きつりながらも何とか愛想笑いを浮かべて、


「当店ではそのようなものを扱っておりません。ご注文はメニュー表をごらんください」


と何とか答えると、


「ぇえ~??いいじゃん。ただだし?」


と男どもが笑う。


あたしは笑顔を返して、テーブルの片付けに移った。


さっさと片付けて、この場を離れよう。


だけどグラスやら皿やらをトレーに乗せている最中に、


「ねぇねぇ彼氏居るの~?」


なんて、からかいながら聞いてくる。


うっせぇな!あたしゃ今…ってか今日機嫌わりぃんだ。おめぇらなんて3秒で地面に沈めてやる!


…と言いたいとこだけど、ここはバイト先のお店。


下手な暴言も吐けねぇし、力でねじ伏せることもできねぇ。


何とか愛想笑いを浮かべるも、この手の客にどう対応していいのか分からない。


「ねね、彼氏居るの?」


もう一度聞かれて、あたしは曖昧に頷いた。


「……います」


そこにいます…


ちらりと戒を見ると、オーダーを聞き終えた戒が“殺”オーラを出して近づいてくる。


そんな不穏なムードに気付かない鈍感野郎どもは、へらへら笑って、


「そっか~残念。だけどちょっと遊びに行かない??俺ら奢るし~」


なんて言ってあたしを覗き込んでくる。


いやっ!たとえ金出してくれもおめぇらとなんか遊ばねぇよ!


ってかこの状況危険!


ここで戒が本気で怒ったら、クビになっちゃうよ~~!!


だけどどうすればっ!?


なんておたおたと焦っていると、






「おい。彼女困ってるじゃねぇか。店の迷惑になってること考えろ」





天の助け!!


低い男の声がして、誰かがあたしを覗き込んでいた男の肩に手を置いて、あたしはほっとしたもつかの間……



んぇえええ!!



なっんでこいつが!!?





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