。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
その答えにほっと安心したのか、鈴音姐さんが安心したように微笑を浮かべ、再びあたしに向き直った。
「ほんま、ええ子に巡り合えたわねぇ響輔も。響輔もうちの可愛い息子みたいなもんやから、安心やわ」
言葉は柔らかかったものの、あたしの後ろに回って帯を締め上げる力は結構なものだった。
胸が締め付けられて一瞬だけ苦しくなるけれど、でもそれはほんの一瞬だった。
「戒な。ほんまは龍崎はんの養子になる話、うちは反対やった。うちだけやない。虎間も。
だけどあの子うちらの反対押し切って、兄ちゃんたちから力づくでぶんどってン。
何がそうさせるんかうちには分からんかったけれど、でもあの子はずっと探しとったんやね」
帯を結ぶ気配がしたけど、姐さんはその手を一旦止めてあたしの前に回りこんできた。
「探してた……?」
「運命の女って者をどす」
姐さんのあったかい手のひらがあたしの頬をそっと包み込み、優しく撫で上げる。
唐突に―――母さんの温もりを思い出した。
あったかくて優しい……母さんの体温―――
「朔羅ちゃんが戒のお嫁はんになるって言うてくれはったら、うちはほんまの娘みたいにあんさんを可愛がるよって。
うちをほんまのお母はん思うて?
あんたのお母はんが伝えられなかった愛情も、成長見守ることも、うちがあんさんのお母はんに変わって全部成し遂げるさかい、
何も心配することないんよ」
戒とは違った…少し独特のイントネーションの関西弁。
鈴音姐さんのお言葉はどこまでも優しくて、母さんとどこか似ていて―――
でも母さんとは違って………
だけど母さんと同じだけ温かいものを感じる。
「お母さん………」
あたしは姐さんを見下ろして、その細い肩にぎゅっと抱きしめた。