。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
姐さんは帯をあたしの腰に巻きつけながら、
「やっぱ女の子は華やかでええねぇ」
と、あたしをリコを見比べては、目を伏せてほんの僅かに笑みを浮かべる。
「龍崎くんはお姉さんとか妹さんとか居ないんですか?」
とまだ私服姿のリコがベッドに腰掛け、ちょっと緊張した面持ちで目だけを上げる。
何せここに居るのはリアル極妻だからな。緊張するのも無理ない。
しかも何故かベッドの上ではキョウスケがお昼寝中だし。
鈴音姐さんにあたしら二人を預けていくのが心配だとか言って、戒はキョウスケを置いていったわけだけど、寝てたら意味ないじゃん。
だけど姐さんはこの間叔父貴に食ってかかっていた迫力をどこかに仕舞い込み、穏やかな笑顔でリコに笑いかけた。
「うちは男の子が三人なんえ。ほんに女の子が欲しかったんどす」
戒も顔だけだったら女の子みたいだけどな。
なんてもちろん言えるはずもなく、あたしは姐さんの次の言葉を待った。
「ほんまは、戒には極道とは違った道を進ませたかったんどす。普通のカタギの様な生活を送らせて、穏やかに育てたかったんどすけど、
何をどう間違ったのか、はたまた血ぃのせいなんか、あの子が一番気性が荒く育ってしもたんえ」
ふぅと鈴音姐さんが可憐に吐息をつく。
戒とは違った…少し癖のある上品な関西弁。
「ははっ…」
あたしはリコと顔を合わせて無理やり苦笑い。
「あの子の体に流れる血ぃは、紛れも無い極道の血。古くから伝わる白虎の血をきっと誰よりも色濃く受け継いでるんや。
響輔かて普段は大人しいしけど、奥底では獰猛で激しい感情が眠ってるんよ」
と、あたしたちほったらかしてベッドで横たわって眠りについているキョウスケに視線をやり、リコに苦笑を向ける。
リコも無理やり苦笑いを浮かべて、鈴音姐さんを見詰め返した。
「知ってます。でも響輔さんは理由がないことで怒らないから」