。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。

神社!?



◇ 神社!? ◇



タクの注意から逸れて、あたしは一人祭りの中をキョロキョロしながら歩く。


確かに感じたんだけど……な。




戒―――…




あたしは胸の辺り…ちょうどタトゥーがある辺りで手を握った。


―――…


いつの間にか、祭りの会場から外の公道に出ていた。


会場は割りと大きな広場に屋台とかが並んでいたけど、花火大会はその奥の川原で打ちあがる。


人の波がぞろぞろと打ちあがる花火に向けて、川原に向っていく。


あたしは人の波を縫って、あいつを探した。


戒に電話をしたけど、すぐに留守電にいっちまったし。


しかも―――姿はおろか、気配までも完全に消えちまった―――


あたしの思い違いか?


なんて思ったけど、キョウスケだって気付いたし、この場所にやっぱり居るに違いない。


けど、何で居るならあたしの前に姿を見せない?


戒―――…バイトじゃなかったのかよ。


さっき一度バイト先のカフェに電話をしてみた。


おネエ店長が電話口に出て、戒が居るか尋ねると、


『龍崎くんなら5時に帰ったわよ?あら、聞いてなかった?…』


なんておネエ店長。


事情を察知して慌てて言葉を呑み込んでいたが、今更口をつぐんだって遅ぇんだよ。



戒―――どうしてあたしに嘘ついたの?




どうして―――





あたしと花火大会なんて来たくなかったのかなぁ……




それならそうと素直に言ってくれればいいのに。





< 523 / 592 >

この作品をシェア

pagetop