。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


花火の時間が迫っているからだろうか、祭りの会場はさっきよりも人が多くて賑わっていた。


「はぐれるなよ?」


と叔父貴にしっかりと手を握られて…


ってか、はぐれようにも…はぐれたくてもこれじゃはぐれれねぇよ。


こりゃキョウスケたちを探し出すのも無理だな。


ケータイを取り出してみるものも、結局キョウスケに電話をすることを諦めた。


そのときだった。


あたしの手のひらの中で極妻のメロディが流れて、あたしは慌ててディスプレイを見た。


着信:戒


となっていって、あたしは目を開いた。


慌ててケータイを開き、耳に当てると、


『朔羅?良かった。琢磨さんと会えたみてぇだな』


と、こっちもいつもと変わらない様子の声だった。


「戒!おめぇ無事か!?ってか、何でドタキャンなんてしたんだよ!」




一緒に花火見たかったのに―――




その気持ちは押し隠して……


あたしの怒鳴り声に、前を向いていた叔父貴が振り返った。


あたしは慌てて無理やり笑顔を作り叔父貴を見上げると、叔父貴は一瞬だけ寂しそうに眉を寄せた。



―――って言うか、この場所に来てるのに何であたしのとこに来てくれないんだよ……


何で叔父貴に頼んだりしたんだよ。






あたし―――…戒のこと



分かんなくなったよ。






< 535 / 592 >

この作品をシェア

pagetop