。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


総合判定のところに“要受診:赤血球系”と書かれている。


「これ、どーゆう意味?」と、隣で椅子に座っているキョウスケを見た。


「血色素量が極端に少ないですね。成人男子の場合は平均して13~16ってとこですけど、彼の場合10少ししかない。


つまりは“貧血”ってことです」


「貧血!あいつがぁ??ウケるっ(笑)」


診断書を見ながらあたしは笑ってやった。


「要受診にはなっていますが、それほど酷いものでもないし大丈夫ですよ」


スッと手が伸びてきて、ドクターはあたしから診断書を奪っていった。


「どうぞ。これが診断書です。彼はあれから変わりないですか?」


「あぁ。元気、元気。もう“超”がつくほど」


あたしの答えにドクターはメガネを直して、またもフフッと笑った。


なんかなぁ。


あたしやっぱこいつ苦手…


診断書も貰ったし、これでずらかるか。


そう思って腰をあげたとき、


「あ、そうそう。君にお返ししますよ。この日記」


キョウスケを見て、どこか不敵に笑うとドクターはキョウスケに日記を手渡した。


「ふふっ。君の脳内は実に興味深い。一度覗いてみたいものですね」


とドクターはずいとキョウスケに迫る。


キョウスケはびっくりしたように目を開いて、唇を結んでいた。


「近い、近い!」あたしはキョウスケからドクターを引き剥がすと、診断書を奪って逃げるようにその場から立ち去った。


ふぅ。


マジであいつはわからねぇ!




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