軽業師は新撰組隊士!


甘味処に寄ることはやめて、巡察を続けることにした楓と、鬼一。

歩きながら話す。


「そういえば、あの方はどうなったんですか?」

「あの方?」

「…あの時捕まえた敵です。」


楓が言っているのは、楓が初めて人を殺したあの日、拷問にかけるために捕らえた敵のことだ。


「あぁ…、死んだよ。」

「――え?」

「副長が拷問にかけて、アイツが攘夷派の浪士だと分かった。だから俺らを襲撃。……拷問が辛かったんだろうな。話した後、舌を噛み切って死んだよ。」

「……。」


いろいろと、よく理解できない部分もあるが
一番聞きたいことは…


「拷問って…、土方さんがしたんですか?」


土方がしたのか、それだった。


「あぁ…。―――なんだ、怖いか?人を死に追い詰めた副長が。」

「なっ…!」


楓は今、鬼一の言ったことが一瞬分からなかった。

――怖い?土方さんが?


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