軽業師は新撰組隊士!



「はっはっは。人々を守るのが新撰組だろう?――幕府に仕えるのは止めだ。」


無闇な戦いはせず、人々を守るときだけ刀を取ろう。

近藤はそう語った。


楓は呆然として
土方は愉快そうに笑った。


そして


「じゃあな、近藤さん。」

「今まで、ありがとうございました!」


お別れの、時だ。


「あぁ。末永く、幸せに。」


いつか手紙でも送ろうと、そう近藤は思った。




*********



屯所から出て
楓は土方に聞く。


「皆さんに挨拶しなくてよかったんでしょうか?」

「良いだろ。挨拶したら、喧しくてかなわないだろうからな。」


ハハッ、と笑う土方を見て、幸せを感じた。



――克は、死んだ。

新撰組の屯所内でお墓を作って、埋めた。


悲しかったが、
克に恩返しをするため

限られた時間を精一杯生きることにした。


これからは、戦いの無い地で、二人でのんびりと暮らすつもりだ。



「ねぇ土方さん。」

「ん?」

「愛してます。」

「あぁ…俺も。」


生きていこう、一緒に。

そう言われて、楓は微笑みながら頷いた。





【END】
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