軽業師は新撰組隊士!


目に入ったのは

団子を口にしながら、逃げている奴と…

―――俺?


なぜ俺が二人…、と頭を悩ませていると


「誰だ」


その言葉と共に、首筋に冷たい刀の感触。

気配も足音もしなかった。

――コイツ、強い



そう思いながら、振り返ると


「…女?」

「ん?土方か?なに、前髪切ったのか?その前に心臓か首か腹を切れ。その方が世の中の為だ」

「簡潔に『死ね』と言ったらどうだ。回りくどいのは嫌いだ」


物凄く毒を吐かれた。
女に。


「…お前、土方じゃないな。アイツなら醜く叫ぶ」

「いや、土方だが。どうやらお前の知っている土方じゃねえらしい」


そういや藤堂が言ってたな。

『別の世界の土方さんの恋人は毒舌の女の子』
って。


コイツ、俺(別)の恋人か?




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