軽業師は新撰組隊士!
しかし刺されたのが脇腹で、内臓が傷ついていないのは不幸中の幸いだった。
それでも痛む傷を、そうだとバレないようにと、表情を固くする。
「ニャー?」
黒猫が、撫でることをやめた楓の手を見つめる。
(っ…!い、痛い…。)
意識すればするほど、痛みは徐々に増す。
すると、
「チッ。餓鬼が、……いてぇなら大人しくしとけ。」
と、土方が乱暴に楓を布団に寝かせ、掛け布団をかけた。
その間に、黒猫は慌てて沖田の傍へと避難していた。
「僅かだが…、額に脂汗が浮かんでる。痛いんだろ。」
そういう時は、寝ることが一番の薬だ――、と言われた。
土方の乱暴な優しさに、楓は一瞬だけ表情を緩めた。