軽業師は新撰組隊士!
その話を聞いて、楓は泣く。
しかしそれは、神の過ちで父親が死んだことではなく、自分への怒り。
「ごめっ、ごめんなさい。父さんっ。」
楓だって、落ちている途中で体制を立て直して着地することは出来た。
しかし、しなかった。
「わ、私っ、父さんと同じ死に方なら、良いかなって…!逃げようとしたのっ!」
サーカス団での自分の立場は、十七歳である自分が背負うには重かった。
重圧から、逃げようとした。
「…知っておる。全て、見とった。」
しゃくりをあげて泣く楓を、優しく見上げる克。
「全て…?」
「あぁ、楓が初めて綱渡りが出来るようになったところも、サーカス団のみんなと笑いよったところも……我は全て黒猫の姿で見とった。」
――母親も、父親さえも失った楓を、見守るために。
克はそう言った。