feel〜優しい体温〜
「やっと着いた…」


通い慣れた道だけど、目が見えないとやっぱキツイ。時間にすると10分くらいで、そんなには歩いてないけど、不安とか怖いって気持ちが何倍にも感じさせるんだと思う。


「んしょ…」


疲れた体を休める為、ベンチに座ると、やっぱいい天気なんだなぁって思う。


なんか不思議だね。太陽の光って目が見えない私にも、眩しい感じがよくわかる。


肌が覚えてるのかな?


ちょっとだけ幸せな気持ちで時間を過ごしてると、少し離れた所からすごく気持ちいい曲が聞こえて来た。


「CDとか…じゃないね。誰かが吹いてるんだ」


優しい音色に吸い込まれる様に、私はその人に近付いた。


それにしても、凄く爽やかな曲。音楽なんて全然解らない私でも、心が洗われる気がする。


私はそこで勇気を振り絞って声を掛けた。


「あの…いい曲ですね!何て曲ですか?」


「…………」


ん?質問悪かったかな…。


「綺麗な音ですね!何て楽器ですか?」


「…………」


あれ?やっぱCDかな?そんなわけないよなぁ…返事したくなくなる程ブサイクになったかぁ?昔は結構モテたんだけどなぁ…。


もしかして嫌な人なのかな…帰ろ…。
< 2 / 76 >

この作品をシェア

pagetop