青い春と風の中で
………久しぶりに逢えた篠崎先生に新倉は舞い上がっていた。


でも僕は只の教師…同僚にしか過ぎない。

篠崎先生は、僕のことをどう思っているんだろう――。


―――よし、今日の夜にでも篠崎先生を食事に誘ってみようか。



……新倉は廊下を歩きながら、小さくガッツポーズをして、口元を緩ませた――


「―――返しなさいッッ」


篠崎の声が階段の傍で響き渡り、新倉は慌てて駆け寄った。


何かトラブルに巻き込まれてるのでは…?と、嫌なことが頭の中をよぎる。


篠崎と笹川が2人っきりで居て、しかも笹川が篠崎の腕を掴んで、片手では何かを持って腕を伸ばしていた。


「――やだねッッ……先生、そのままでも充分可愛いよ」


「教師をからかわないで…」


――新倉が篠崎に言いたかった言葉を、笹川がサラリと自然に言われた。


胸の中で黒い煙がモヤモヤと漂っていて、そしてイライラと苛立ちが、新倉を刺激する。


――ギリッ…

唇を噛んで、拳を握り締めした。

もしも僕が教師でなかったら、こんな奴、ぶん殴ってやるのに。



「――何をしてるんですか?」


心とは裏腹に、口は冷静に言葉を発していた。





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