青い春と風の中で
「――最初はね、3人で暮らそうって美雪さんも言ってくれたんだけどね。――あ、美雪さんっていうのは、俺の親父の再婚相手の奥さん…つまりは、義理の母親になった人なんだけど……。やっぱり、新婚ホヤホヤの人達の所には居づらくてね――。俺が1人暮らししたいって言ったんだ」


「そうなんだ」


そう言って語り出す春の横顔は、何だか寂しそうで私は思わずブランコに座り込んで俯いている春を抱きしめていた。


――学校の先生方が言っていることとは全然違うじゃない。


本当は寂しいはずなのに気を使って我慢している、優しい少年――。


見た目だけで悪く判断されているけれど、中身はこんなに優しさに、愛情に包まれているのに、どうして理解してあげないのだろうか。


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