青い春と風の中で
「あ、…ニヤニヤしてるってことは、やっぱり彼氏なんだ〜☆先生可愛いからなぁ。」


「――あら。石橋君だって可愛い彼女の1人や2人、居るんじゃないの?」


「――……フフン♪。俺はさ〜、彼女が沢山居るから1人に決められないのさ」


そう言って葵が冗談を返すと、一瞬だけ悲しそうな表情を見せたが、直ぐにいつものように髪をかきあげて、キザな台詞で応えた後、「――じゃあ、俺は逃亡した春を捜しに行って来ますよ。」そう言うと、その場を去って行く石橋の後ろ姿を、葵は見つめていた。



(……一瞬だけ見えた、石橋君の悲しそうな表情は、一体……?)



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