青い春と風の中で
―――――
―――




《ブー…ブー…ブー……。》


ズボンのポケットに入れていた携帯が小さく震えながら振動して、春はおもむろに携帯を開き画面を見つめた。

――――――――――
○○/×/△△8:15
――――――――――
To,石橋
――――――――――

春!!何処に居る?

メールよこせ〜(-_-#)

――――――――――



「―――はぁ。(パタン)」


葵からかと思って期待したが、石橋からの催促メールを見て溜め息を吐き携帯を閉じた瞬間に、屋上のドアが鈍い音を立てて開いた。


《ガチャ――》
「――あ、春。やっぱり此処に居たんだね。」


笑みを浮かべながら春の元に駆け寄ると、葵の胸にもたれかかった。


「――ど、どうしたの?春……。」


困惑する葵に、春は薄く右の口元を上げて「―――何でもねぇよ。」と呟いた。


「さっき、石橋君が春を捜しに行ったんだけれど……その様子じゃ、まだ会えてないみたいね。」


「あぁ、それなら大丈夫。今、アイツからメール来た」


< 80 / 90 >

この作品をシェア

pagetop