AKIRA


 いつもバカやって、つるんでる奴らと、何で今さら離れなきゃなんねぇんだよ。何で、今さら転校なんだよ。くそっ。

「お? 晶じゃないか?!」

 そう言って声をかけてきたのは、同じクラスの服部だった。声掛けるなり、俺の肩に腕まわして、顔を覗き込む。

「何? なんか機嫌悪い? もしかして泣いて……」

「何でもねぇよ」

 覗きこんだ服部の顔から視線を逸らして、腕を振り払った。

「うわ、マジ機嫌悪ぃのな。何があったんだよ」

「だから、うるせぇって言ってんだろっ!!」

 そのまま、なんか心配そうにしてる服部を避けて、更にイライラしながら歩き続けた。目的もないまま、さまよって、何がしたいんだ、俺。

 そんな時、ふと周りを見て、俺の住んでる三丁目から、隣の二丁目まで来ている事に気付いた。

 隣なのに、学校が違う区内、俺を知ってる奴もいねぇだろうな。だったら、こんな苛立ってる時に、誰にも会わなくて済む。

 泣き顔、見られなくて済む。

 そう思ってたら、いきなり「おい」と、また声をかけられた。

 知らない声だ。

 また不機嫌に振り返る。

 俺は、そいつとフェンス越しに向き合ってた。

「お前、俺の相手しねぇ?」

「はぁ?」



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